私の趣味はマリンアクアリウムですが、
その原点は、海に潜って採集した魚を飼育するというものでした。
現在も伊豆や和歌山、高知や沖縄、時には日本海側まで足を延ばし、
魚を採集して、気に入った魚は持ち帰って飼育しています。
今年は3月に沖縄へアドバンスドダイバーのライセンスを
取得しに行くついでに海に潜って採集をしました。
5月と6月は高知へ行き、今年の夏も、沖縄、伊豆に遠征する予定です。
先日は三重に行きましたが、散々な結果でバカ貝三昧でした。
さて、私が素潜りで採集を始めたのは2年半程前です。
まだまだ長い時間潜っていられないし、採れる魚種も限られています。
しかし、魚を相手に採ろう採られまいのファイトをするのは
とても高揚した気分になり、いつの間にか素潜り採集の世界にのめりこんでいました。
珍しい魚を見つけた時には、この魚は絶対に採らなくてはという
緊張感を押し殺し、魚との微妙な駆け引きで網に追い込み、
ついに採ったときの喜びは言葉に表せないものがあります。
そんな素潜り採集のあれこれを今回は特集でお送りします。
素潜り採集の基本
素潜り(スキンダイビング)は、スクーバなどの呼吸器具をつけずに、
自分の息だけで潜水をすることです。
私は、基本的にシュノーケリングと同じ装備で潜っています。
潜水すると、水深が深くなっていくにつれ、水圧が高くなっていきます。
すると、水圧で鼓膜が体の内側へ押されます。
そのまま潜り続けると痛みを感じるようになり、潜っていられなくなります(スクイズ)。
体外から受けている圧力と体内の圧力が等しくないために、この現象は起こります。
それを防ぐには、体内外の圧力を等しくする必要があるので、
鼻をつまんだ状態で、鼻息をしようとします。
すると鼓膜がボコっと膨らんだ感じになり体内外の圧力が等しくなります(圧平衡)。
これを深度が深くなるたびに繰り返すことで、
スクイズを防ぎ、より深い所へ潜れるようになります。
慣れてくると、鼻をつままなくてもできるようになります。
素潜り採集ではどうしても両手が網でふさがるので、
鼻をつままずに圧平衡ができるようになると、かなり捗ります。
また、シュノーケルをつけた状態で潜った場合、
シュノーケルの中に海水が入ってくるので、海面に上がった際に
シュノーケルに強く息を吹き込んで、シュノーケル内の水を吐き出す必要があります。
これをシュノーケルクリアといいます。
素潜り採集の装備
東上の採集のスタイルを図で表すとこのようになります。
マスク
いわゆる水中メガネです。一眼のものと二眼のものがあり、一眼のものは視野が広く回りを見渡しやすく、二眼のものは一眼のものに比べ圧平衡しやすいといわれています。
マスクストラップ(ネオプレーンラミネート ナイロン100%)
元々純正品はゴム製でしたが髪の毛が引っ掛かり痛いので、布製に交換しました。ゴム製のストラップに布製カバーをつける形の「マスクストラップカバー」もあります。
シュノーケル
TUSA製。口の部分が水面より下にあってもシュノーケルクリアがしやすいものを使用しています。重要な器具の一つなので、選ぶときは自分に合ったものを選びましょう。
ウェットスーツ
自分の体形に合わせたオーダーメイドです。体形が標準的でないなら、オーダーメイドをお勧めします。体重変動は±5kgが許容範囲です。厚さは5mmで、ある程度低い水温にも対応できます。(2月の和歌山はやめましょう笑)そろそろ使い始めて3年半なので尻周りがボロボロです。新調すると高くつくので暫く我慢します。
フードベスト
顔をすっぽり覆うフードベストです。ラッシュガードの上に着ます。つまり、ラッシュとウエットスーツの間に着る防寒着です。スキューバダイビングではこれがあるかないかで全然違います。これを着ると圧平衡しやすくなります。
グローブ(滑り止め付き軍手)
takosuke氏お勧めの品。水中でゴツゴツした岩に手をかけて怪我をしたり、ウニ等に刺されないようにするための装備です。網を持つ手が滑らないようにする重要なアイテムでもあります。下に普通の軍手もつけておくとある程度ガンガゼの棘対策になります。
ウエイトベルトとバックル
ウエイトをつけるためのベルトです。カラビナをつけてイカシ等を取り付けることができます。水中では水圧で体が引き締まりますので、バックルはややきつめに締めるといいかもしれません。
カラビナ
金魚網やイカシをベルトにつけておくのに使います。大きなもののほうが水中で扱いやすいと思います。ウエイトベルトにはDリングを取り付け、そこにカラビナを取り付けます。Dリングを間に挟む理由として、ベルトに直接カラビナを取り付けるとカラビナが不意の方向へ回ってしまい、いざ魚が採れた時に採集用イカシが取り外しにくくなってしまうため、慌ててしまいます。そうなると、魚を逃がしてしまうかもしれないためです。同様の理由で、カラビナは出来るだけ大きいものの方が、水中ではスムーズにイカシの脱着ができます。
ウエイト
170cm57㎏の私は通常4kg程度で十分ですが、素潜り採集では様々なアイテムを腰につけているので1kg追加して5kgで潜っています。素潜り採集では潜りやすいようやや重めにするのがいいかと思います。
網バケツとロープ
この中に採集されたやや大きめの魚を入れておけます。釣りのときに水を汲む網バケツとロープを使っています。いわゆる穴あきバケツにロープを取り付け、ロープ巻きにウキを取り付けたものです。このままだと水に浮くので、初めの図のように拠点として使う場合は、バケツの中に石を入れ水底にバケツを沈めておきます。ロープは10mあるので10mまでの水深に対応しています。ウキはもう少し視認性の高いものを使うと尚良いと思います。採った魚をストックしておくために漁港に沈めておくときにも使います。
フィン
足ヒレです。ロングフィンやジェットフィンがありますが、私は体力がないので普通のものを使っています。
マリンブーツ
余談ですが、海に入りながら用を足すので、潜り終わる頃には純度の高いションベンがブーツの中に溜まっておりとても臭いです。
金魚網
私が大好きなタツノオトシゴやヨウジウオを採る時に使います。これらの魚は玉網をすり抜けてしまうからです。
イカシ
広口T型瓶1Lに穴を開けたものを使っています。
採集用イカシの作り方←ここをクリック
玉網
丸型の玉網のフレームは釣具屋で売られています。フレームは折り畳み式とワンフレームの2種類があります。
折りたたみ式
メリット
- 小さく折りたたむことができる
- 価格がワンフレームよりも安価
デメリット
- 剛性が弱いため岩にあたるとすぐよじれる
- 剛性が弱いため水中で振り回すと違和感がある
- 壊れやすい
ワンフレーム
メリット
- 剛性が高く、岩場でもガンガン網を突っ込める
- 壊れにくい
デメリット
東上は両方とも持っていますが、ワンフレームタイプは1つ1万円以上する「極(きわみ)」を直径45cmと直径50cm各1つずつ所有しています。大きさが違いますが、特に意味はありません。装着している網は純正品の「極」です。ただし、「極」の網目は大きいため、小型魚は網をすり抜けてしまいます。ですので小型魚にはもう少し網目の細いタックルベリーで売っている100円網を使用しています。そちらは後者の折り畳み式に装着しています。
折りたたみ式は一つ5000円程度のカーボン玉網?(商品名忘れた)を使用しています。最初に買ったのはこちらですが、水中での剛性のなさに違和感を覚えたのでワンフレームを買い足しました。タックルベリーの100円の細目網を使用しています。ただし、フレームが太いため網の外側の輪を通して取り付けることができなかったので、ポリ糸でぐるぐる巻きにして無理矢理装着しています。丸いフレームの網は、一辺が直線になっている網よりも魚が逃げやすいので若干採集が難しくなりますが、東上は始めからこのスタイルなので特に何も感じていません。川遊び用の柄の長い網は水中では取り回しにくいので使いません。
上記のフレームを買った場合、別途持ち手が必要になります。東上は初め、木製の持ち手を使っていましたが、強度に難があったので塩ビパイプ製のものにしました。そのままだと網に接続できないので適当なジョイントパーツと、釣具屋で売っている金属製の接続部品を組み合わせました。見た目の重厚感もバッチリです(いらない)。柄の長さは60cm・50cm・45cmの3種類です。60cmよりも長いと取り回しにくいと東上は感じました。
ポリタンク又は携帯用イカシ
採った魚を車で輸送する時に使います。キャンプツーリング×海水魚採集では、積載に制限があるため写真の果実酒瓶を使います。
小型の持ち帰り用イカシの作り方
使うのは、写真左側のタケヤ製のポリ容器の果実酒瓶です。果実酒瓶は通常ガラス製のものが多いですが、強度に問題があるのでイカシとしては使用しません。
この果実酒瓶は上部にガス抜き穴が開いているので、面倒な穴あけ加工が不要です。この穴にエアーチューブを通してエアストーン・エアーポンプを取り付ければ
簡単に小型のイカシが作れます。右が2.4Lのタイプ、左が4Lのタイプです。
motofizz サイドバッグLに2個ぴったり入ります。
通常の車を使った採集では、20Lポリタンクを使います。
エアーポンプ・エアーチューブ・エアーストーン
輸送時の酸素供給の要です。
くもり止め(ONE DROP)
あったほうがいい程度のものです。極端に水温が低くない限りは、ツバをつけておけば十分くもり止めになります。
ドックスプロプラグ
ダイビングには本来耳栓は厳禁ですが、この耳栓は小さな穴が開いているダイビング専用耳栓です。耳の外と中の圧力変化をゆっくりにすることで圧平衡をしやすいようにした耳栓です。昨年の潜りで耳を故障し鼓膜に穴が開いてしまったので、また耳を壊さないよう購入しました。ダイビングよりも、さらに圧力変化の大きいフリーダイビングではさらに有効だと思われます。
左右の耳栓がつながっており、失くしにくいよう工夫されています。
素潜り海水魚採集のいろいろ【法規編】に続きます
今回東上の使用している道具について解説しましたが、採集のスタイルは人によって様々です。自分なりのスタイルを確立して快適な採集ライフを送ってください。
http://laytrack.blog.shinobi.jp/%E6%B5%B7%E6%B0%B4%E9%AD%9A%E6%8E%A1%E9%9B%86/%EF%BC%BB%E7%89%B9%E9%9B%86%EF%BC%BD%E7%B4%A0%E6%BD%9C%E3%82%8A%E6%B5%B7%E6%B0%B4%E9%AD%9A%E6%8E%A1%E9%9B%86%E3%80%80%E3%81%9D%E3%81%AE%EF%BC%91素潜り海水魚採集のいろいろ【装備編】