うみのおさかなのいろいろ@東上本出の日記

海水魚採集 海水魚飼育 飼育各論 小笠原 星景撮影 CB400SB Roadster CX-30

うみのおさかな以外の話題がメインになってしまったブログ主の○○やってみたシリーズ。水槽の更新再開しました。

カクレクマノミの飼育

久々にブログタイトルにふさわしい更新内容になります。

今回は、海水魚飼育の定番魚である、カクレクマノミについて

東上的、飼育各論をお送りいたします。

和名 カクレクマノミ
学名 Amphiprion ocellaris
スズキ目スズメダイ科クマノミ亜科クマノミ属
全長 8cm
分布 奄美大島以南 東部インド洋~西部太平洋の熱帯域
サンゴ礁域の水深1~15mに生息

特徴

熱帯のサンゴ礁域に生息するクマノミ属の一種。

オレンジ色の体に3本の横帯があり、センジュイソギンチャクや

ハタゴイソギンチャクと共生することが知られている。

雄性先熟で性転換をするため、比較的小さな個体は性的に未成熟、

基本的にイソギンチャク内で群れ(ファミリー)を形成し

そのなかで最も大きな個体は雌で、次に大きな個体がペアの雄。

そのほかの個体は繁殖に参加しない同居人のような存在である。

飼育について

サンゴ水槽での飼育

カクレクマノミは、SPSに興味を示すことはありませんが、

ハナサンゴなどのLPSには、イソギンチャクと似ているため

興味を示す場合があります。実際に見たことはありませんが、

他サイト様で、LPS系のサンゴに体を擦り付けるなどの行動が

確認されています。ソースは以下↓

アクアハーミット様 https://www.aquahermit.com/ocellaris_sango
Do not live to eat様 https://yowatana.com/marine-aquarium/add-clownfish/

特に、ハナサンゴに興味を示した事例が多いようです。
【ツツマルハナサンゴ Euphyllia glabrescens】

ただし、気を付けなければならない点は、ハナサンゴなどのLPSにとって

カクレクマノミが体を擦り付けたり、入ったりすることは

彼らにとって好ましいことではないので、調子を落としている場合に

ハナサンゴにストレスを与え、死んでしまう場合もあると思います。

とはいえ、サンゴ水槽において、イソギンチャクを飼育することは

非常に困難であるため、イソギンチャクの代用としてLPSを水槽内で

飼育して楽しんでおられる方も中にはいるようです。

イソギンチャクとの共生を楽しむ場合

カクレクマノミが自然界において好むイソギンチャクは

ハタゴイソギンチャクやセンジュイソギンチャクです。
【ハタゴイソギンチャクとカクレクマノミ幼魚(2cm 1m 沖縄県石垣島)】

水槽内でイソギンチャクを飼育するのは難しく、水質や水流、光量など

様々な条件を考慮しなければなりません。また、イソギンチャク自体が

水槽内で都合の良い場所を探して動き回るため、ストレーナの巻き込みに

注意したりするなど、ヘタなサンゴよりも飼育のハードルが高い気がします。

イソギンチャクの毒性の強さと、動き回る性質からSPSやLPSサンゴと

同居させることは、かなり上級者向けだと思います。

特にハタゴイソギンチャクは毒性が強く、大型に成長するため、

クマノミ以外の魚と同居することも難しいようで、自然界に近い形で

飼育を行いたければ、60cm以上の大きさの水槽で

イソギンチャクとクマノミのみを飼育することになると思います。


では、ハタゴやセンジュ以外のイソギンチャクには入らないかと

いうと、そうでもないようで、時間がかかるようですが

ほかの種類のイソギンチャクにも入る場合があるようです。

こちらは、東上が飼育していた初代のカクレクマノミです。

イソギンチャクの種類はサンゴイソギンチャクです。

このように、ハタゴやセンジュではないイソギンチャクでも

時間をかけて慣らせば共生が可能ではないかと考えられます。

他の魚との混泳

カクレクマノミの性格は比較的おとなしく、チョウチョウウオなどと

の混泳が可能であると考えられます。口の大きい肉食魚を避け

あまり性格がきつすぎない魚を選べば多くの魚と混泳させることが

可能であると考えられます。

スズメダイ科に属する魚は、性格がきつく、また近縁の種であるため

食性や縄張り意識の部分が似ており、

45cm以下の小型水槽では難しいと考えられます。

また、カクレクマノミの性格が比較的おとなしいのは、

体長が4cmぐらいまでで、成長に伴って性格がきつくなっていきます。

そう考えると、カクレクマノミの体格を上回るような

口の小さい雑食、藻食性の魚がいいのではないでしょうか。

定番の組み合わせ、ナンヨウハギやキイロハギ、ヒフキアイゴ

ソメワケヤッコなどの中型ヤッコが良いのでなないかと思います。

イソギンチャクを入れて飼育する場合は、縄張り意識が強くなるため

攻撃性が高くなると考えられるので、注意が必要です。

同種・同属間の混泳

写真は先住のカクレが後から入ってきたカクレクマノミを威嚇

しているのですが、この時威嚇された側がプルプルと体を震わせて

服従を示しています。一方がボス、片方が従属する関係です。

この関係が出来上がれば、水槽内で同種の混泳が可能です。

カクレクマノミは群れの中で一番大きな個体が雌になり、

雌がそれ以外の個体の中から雄を選んで、自然にペアが形成されます。

ペアを形成すると、それ以外の個体は排除されるため、

上の写真の2匹が今後ペアを組むと仮定するならば、

3匹以上の数のカクレクマノミを飼育することは難しくなってきます。

しかし、条件を満たせばペアの2匹に加えてもう1匹の同居が可能なようです。

それについて、東上は以下の実験を行いました。

写真の左側の2匹は天然のペア個体です。ペアが入っている水槽に後から

未成熟の小さな個体を入れると、ペアはこの小さな個体を排除しようと

しますが、小さな個体が服従のポーズをとって無害アピールをすると、

ペアの2匹は小さな個体に攻撃しなくなりました。つまり、この小さな個体は

自然界のクマノミの群れに見られる繁殖に参加しない同居人

ということになります。ペアの2匹に気に入られれば、未成熟の個体

であることを条件に同居が可能なのではないかと考えられます。

もしここで気に入られなければ、攻撃され続け死んでしまうでしょうね。


他種のクマノミとの混泳は難しく、喧嘩をしてしまいます。

90cm以上の水槽で、両端にイソギンチャクを置いて

縄張りを二分する形にすれば可能であると考えられますが、

小さい水槽ではまず無理でしょう。

餌について

ショップに出回っている安価な個体はブリード個体で

人工餌に慣らされているので、餌付けは必要ありません。

成長に合わせ、口に入る大きさの沈下性の餌をあげましょう。

天然の採集個体を持ち帰り一時的に預かったことがありますが、

こちらも餌付けは容易で、メガバイトなどを投入すれば

自然と食べていました。

飼育環境・総評

性格 ☆☆☆☆★ 比較的おとなしい
耐病性 ☆☆☆☆* トリコディナ病に注意
対水質悪化 ☆☆☆☆★ 硝酸塩は50ppm以下
餌付き ☆☆☆☆☆ かなり餌付きやすい

スズメダイの仲間ですので、飼育難易度はあまり高くなく、

初心者にもお勧めできる海水魚です。

現在東上が飼育しているカクレクマノミは3年目に入りました。

その間病気は一度も出ていません。

特筆すべき病気として、トリコディナ病に注意が必要です。

トリコディナ病は、トリコディナ原虫が寄生して引き起こされる病気で

体表に半透明の膜が張ったような状態になり、短時間で死に

いたる病気です。原因は水質悪化による魚の体力・免疫低下です。

日ごろからこまめに水替えを行い、水質管理につとめていれば

怖くはない病気ですが、カクレクマノミは特にこの病気に

かかりやすいといわれているので、水槽に入れてから一週間は

注意深く様子を見てください。

ショップでの個体選びですが、安価なものはブリード個体で

体色のオレンジが少し薄いです。天然物は色が濃いものが多いです。

ブリード個体はイレギュラーバンドや黒化個体(ブラックオセラリス)

など、付加価値の高い個体が選べることがメリットです。

天然個体は、ブリードに比べると高価で取引されています。

採集

採集難易度 ☆★★★★
レア度(採集家基準) ☆★★★★
輸送に対する強さ ☆☆☆☆☆

分布は奄美大島以南です。奄美大島以南のサンゴ礁にいって

ハタゴイソギンチャクを覗けば高確率でカクレクマノミがいます。

近づくとイソギンチャクに隠れ、間からこちらを覗いて

くるので、採集は容易です。ただし、その採集の容易さから

映画「ファインディング・ニモ」で一躍有名になった際には

乱獲されてしまったという話を聞いたことがあります。

(そもそもニモはA.ocellarisではなくA.perculaといわれていますが)

ここでは今までの例に倣って採集に関する記述をしておりますが、

カクレクマノミを入手したい場合は、ショップのブリード個体を

購入し、育てるのが自然環境の保護面で最善かと思われます。

特に、採集が容易で観賞価値が高い魚に関しては同じことがいえます。

採集家の皆様には、必要最低限の数を持ち帰っていただくよう

また、転売目的での採集は行わないようお願い申し上げます。

フレームエンゼルの飼育


和名 フレームエンゼルフィッシュ
学名 Centropyge loriculus
スズキ目キンチャクダイ科アブラヤッコ属クシピポプス亜属
全長 10cm
分布 中・西部太平洋
赤を基調とする体色に黒のバンドが入るのが特徴の美しい小型ヤッコ。
生息地により体色の赤みや、バンドの入り方が異なる。

特徴

マリンアクアリウムの世界では、たいへん人気のある小型ヤッコ。

入荷量も多く、価格も安価なことが多い。

人工飼料への餌付きも非常に良く、アクアリウム雑誌や・他サイトでは

「初心者向き」とされている。←私は初心者向きとは思っていない

ヤッコの中では雌雄の判別がしやすい種で、

背鰭及び尻鰭の後部が角張っている方が雄、

丸みをおびているのが雌である。そのため、ペアリングがしやすい。

飼育について

サンゴ水槽での飼育

フレームエンゼルはクシピポプス亜属と呼ばれる仲間に属しているため、

一般的に、サンゴを突きにくいといわれていますが、

個体によってはサンゴを突くものもいます。

餌が足りなくなれば、それだけサンゴを突く確率も上がりますし、

他魚がサンゴを突いているのを見て同じように突く可能性も考えられます。

しかし、小型サンゴ水槽で小型ヤッコを飼育することができる可能性が

あるのは、本種やチェルブ、フレームバックぐらいだと考えます。

大型水槽であれば、サンゴの個体数も増やせますし、

良い状態でサンゴを飼育することが可能ですので他のクシピポプス亜属や

ケントロピーゲ亜属のヤッコを飼育することは不可能ではありません。

詳しくは以下のリンクをご覧ください。

サンゴを突く小型ヤッコと比較的突きにくい小型ヤッコ

他の魚との混泳

混泳の一例、写真はフレームエンゼルとディアディムアンティアス

ヤッコ(エンゼルフィッシュ)という魚は魚全体でみると

水槽内のカースト上位に君臨する魚であり

ヤッコを中心に他種との混泳関係を作っていくことになります。

フレームエンゼルの場合、混泳魚は基本的にヤッコ同士(同種・同属)は避け、

ハナダイやチョウチョウウオ、ゴンベ、小型ハゼ等、

同じようなサイズ又はそれ以下のサイズの他種との混泳をお勧めします。

同種・同属間との混泳

ヤッコ同士を混泳させるのは難しいといわれています。

同種ならペア形成、異種のヤッコなら比較的気が弱いものから

水槽に入れる、レイアウトを工夫する、水槽を大型にするなど工夫が

必要になります。上級アクアリストの方の意見を参考にしてください。

フレームエンゼルは自然界ではハーレムを形成しますが、

水槽内では大変難しく、ペアでの飼育がやっとではないかと思います。

ただ、前述のとおり雌雄の判別が容易であるため、

ペア形成は個体選びの面から、比較的やりやすいとは思います。

フレームエンゼルは、小型ヤッコの中では比較的性格は温和なほうだと

思います。他種小型ヤッコとの混泳は初心者の方にはお勧めしませんが、

もしするならば、気が弱い種類(個体)のヤッコから水槽に導入し、

餌付けをしっかり行ってから、その後気の強い種類(個体)のヤッコを

入れるという手順になります。水槽内のレイアウトは、

ライブロックを複雑に組み、それぞれのヤッコが隠れられる場所を

作ってあげることが、ヤッコ混泳の成功のカギではないかと思います。

餌について

フレームエンゼルは、たいへん人工飼料への餌付きが良く、

苦労することは少ないと思いますが、稀に餌付きにくい個体が

いると考えられますので、その場合は冷凍ブライン等から

徐々に餌付けていってください。

飼育環境・総評


性格☆☆☆☆★ヤッコの中では比較的良い
耐病性☆☆★★★特に導入初期に注意
対水質悪化☆☆★★★水質悪化には弱いです
餌付き☆☆☆☆*☆5にしてもいいかも

いくら一般的に飼育が容易といわれていても、

やはりヤッコはヤッコです。初心者が安易に手を出すとやっぱり

痛い目にあいます。そういう意味では容易という言葉は使うべきでは

ありません。水槽が立ち上がっていないと、必ずと言っていいほど

白点が出ますし、水質が悪化すればトリコディナにも注意が必要です。

水槽が立ち上がっていて、水質が安定し、フレームが水槽環境に一旦

慣れてしまえば「容易」なのであって、それはどの魚にもいえることです。

フレームエンゼルはショップでの入荷量が多く、ハワイ産・マーシャル産

クリスマス産など、いろいろな産地の個体が出回っています。

ハワイ・マーシャル産は比較的安価ですが、クリスマス産はそれより高価です。

特にクリスマス産は赤みが強く、なかには黒いバンドがほとんどない

ウルトラフレームという個体もいます。

個体選びをする際は、特にショップで安売りされている2000円前後のものは

避けた方がいいと思います。そういった個体はシアンによる薬物採取により、

状態が悪くなっているものが多く、1週間以内に死亡する可能性が高いです。

個体選びは慎重に行って下さい。

サンゴを突く小型ヤッコと比較的突きにくい小型ヤッコ

サンゴ水槽で小型ヤッコを飼育したい、そう考えている時期が

東上にもありました。いろいろ調べると、サンゴを突きやすいものと

比較的突きにくいものがいることが分かりました。

小型ヤッコとして知られている

アブラヤッコ属(ケントロピーゲ属)は2つの亜属に分けられます。

1つはクシピポプス亜属、もう1つはケントロピーゲ亜属です。

前者のクシピポプス亜属のヤッコの中には、

特にサンゴを突きにくい種類がいます。

比較的価格が安く手を出しやすい種類の例として、

フレームエンゼル
アフリカンフレームバックエンゼル
チェルブピグミーエンゼル

がサンゴを突きにくいクシピポプス亜属の小型ヤッコです。

フレームエンゼル
Centropyge loriculus

フレームエンゼルはLPS・ソフトコーラル水槽で飼育したことがありますが、

サンゴを突いたりせず、餌付きも良く飼育しやすいケントロでした。

フレームバック系は気が強いため、混泳魚と問題を起こすおそれがあり、

総合的に評価してサンゴ水槽で小型ヤッコを飼うなら断然フレームエンゼルです。

それ以外のクシピポプス亜属のヤッコもサンゴを突きにくいといわれていますが、

安価で入手しやすい、飼育難易度が比較的低い、

狭い水槽でサンゴを飼育していても安心できるのは、

上記3種と東上は考えています。

上記以外のクシピポプス亜属のヤッコ(代表的なもの)には

ルリヤッコ・アカハラヤッコ・ダイダイヤッコ・チャイロヤッコ

レンテンヤッコ・マルチカラーエンゼル・カリビアンフレームバックエンゼル

ホツマツアピグミーエンゼル・ココスピグミーエンゼル

レスプレンデントピグミーエンゼル・ポッターズピグミーエンゼル

フィッシャーズピグミーエンゼル等がいます。

この中には、サンゴを突きにくい種類(カリビアンやココス)もいますが

高価なためなかなか手が出せません。

その他のクシピポプスは個体差によります。こちらもまた

レンテンやレスプレ等高価な種類もいます。

私のイメージでは日本に生息しているダイダイ以外のクシピポプスは

サンゴを突きやすいイメージがあります(アカハラやルリ・チャイロ等)。

あくまで東上の偏見ですのでその辺りは

実際にサンゴ水槽に入れてみないと分からないですが、

海水魚飼育は、教科書通りにはいかない部分が多いのです。

コガネヤッコ(レモンピールエンゼル)
Centropyge flavissima

ソメワケヤッコやレモンピールエンゼルを含むケントロピーゲ亜属のヤッコは

実際にサンゴ水槽で泳がせてみないと分からない部分が大きいです。

小型水槽ならば大抵の場合サンゴをつつき回してダメにするとは思います。

ケントロピーゲ亜属の中でもゴールデンエンゼルは、

サンゴを突きやすいので、サンゴ水槽での飼育は特に不可です。

それ以外のケントロピーゲ亜属のヤッコも

基本的にはNGと考えておいたほうがいいと思います。

ミノカサゴ類の飼育


和名 キミオコゼ
学名 Pterois radiata
カサゴ目フサカサゴ科ミノカサゴ亜科ミノカサゴ属
全長 18cm
分布 南日本の太平洋岸・伊豆諸島・琉球列島・インド洋・太平洋
ネッタイミノカサゴ、ミズヒキミノカサゴに似るが、眼上の皮弁にひだが無いことで見分けられる。

和名 ネッタイミノカサゴ(手前の魚)
学名 Pterois antennata
カサゴ目フサカサゴ科ミノカサゴ亜科ミノカサゴ属
全長18cm
分布 南日本の太平洋岸・伊豆諸島・小笠原諸島・琉球列島・インド洋・太平洋
ミズヒキミノカサゴ Pterois mombasae との見分けのポイントは、胸鰭軟条に縞模様が無いこと。

和名 キリンミノ
学名 Dendrochirus zebra
カサゴ目フサカサゴ科ヒメヤマノカミ属
全長20cm
分布 南日本の太平洋岸・伊豆諸島・小笠原諸島・琉球列島・インド洋・太平洋

和名 ハナミノカサゴ
学名 Pterois volitans
カサゴ目フサカサゴ科ミノカサゴ亜科ミノカサゴ属
全長 45cm
分布 南日本の太平洋岸・伊豆諸島・小笠原諸島・琉球列島・インド洋・中~西部太平洋の熱帯域
南方の海で最もみられるミノカサゴ。写真のハナミノの全長は22cm

飼育について

ミノカサゴ類は、大型に成長する種類がいます。

なかでもハナミノカサゴ、ミノカサゴ Pterois lunulata

は最大で40cmを超える大きさまで成長します。

これらを飼育するためには90cm水槽以上のサイズが望ましいです。

それ以外の種でも、75cm水槽は欲しいところです。

サンゴ水槽での飼育

サンゴ水槽での飼育が可能ですが、ミノカサゴは出来るだけ小さいサイズ

水槽のサイズは大き目が望ましいです。

レイアウトによってミノカサゴが泳ぐスペースが無くなってしまうためです。

大型種は糞の量も大量なので、水質に注意です。

他魚との混泳

ミノカサゴの口に入らないサイズの魚と混泳が可能です。

ハゼ、カエルウオ等体高が低い魚は丸呑みにされてしまうので混泳不可です。

体高の高い大型チョウ、大型ヤッコ、ハギならば可能であると思われます。

ただし、魚によってはミノカサゴの鰭をつついたりするので注意です。

同種・同属との混泳

極端にサイズが違わなければ、ミノカサゴ同士の混泳は可能です。

異種のミノカサゴを混泳してもケンカしたりはしません。

餌について



餌付け難易度は低いです。ミノカサゴ類は生きた魚や甲殻類を食べます。

最初はスジエビ等を与えておけば、まず食べてくれます。

そこから死にエサにだんだんと慣らしていけば人工飼料にも餌付きます。

飼育環境・総評


性格 ☆☆*★★ 普通
耐病性 ☆☆*★★ 尾腐れ・白点に注意
対水質悪化 ☆☆★★★ 水質悪化は尾腐れに直結
餌付き ☆☆☆☆★ 段階を踏めば人工飼料に餌付く

ミノカサゴの飼育において最も気をつけなくてはならないのが比重です。

飼育水の比重は必ず1.021以上をキープしてください。

ミノカサゴ類は低比重に弱く、低比重下ではすぐに細菌性感染症(尾腐れ)

にかかってしまいます。

関連リンク→ハナミノカサゴの尾腐れ病治療

背鰭には毒棘があり刺されると痛みますので、

水槽に手を入れる際はミノカサゴの動きを常に注視してください。

人慣れしたミノカサゴは刺してきたりしないと思いますが、

始めのうちは要注意です。刺された場合は患部を

火傷しない程度のお湯(50℃程度)に浸けると痛みが和らぎます。

ヒーターを使用する際はヒーターカバーがあると

ミノカサゴが火傷するのを防げます。

水温は熱帯種に関しては25℃前後でよいと思います。

温帯種はそれよりも低くキープする必要があると思います。

また、ミノカサゴは脱皮をします。

時より体を震わせて白い膜を大量に出したらそれが脱皮です。

大型の個体の場合は特に観察しやすいです。

脱皮後は水槽に膜が大量に浮きますので、

すぐに掃除して水質悪化を防ぎましょう。

採集

採集難易度 ☆★★★★
レア度 ーーーーー
輸送に対する強さ ☆☆☆★★

ミノカサゴ類は見た目が派手なものが多く、動きも緩慢なので

捕獲しやすい魚です。一般的にミノカサゴ・ハナミノカサゴ

キリンミノ・キミオコゼ・ネッタイミノカサゴ・シマヒメヤマノカミ

ミズヒキミノカサゴが多く採集されますが、それ以外の種はレアです。

採集時に網で鰭に傷が入り、そこから感染症にかかりやすいので

自家採集のミノカサゴを水槽に入れる際は薬浴をすることをお勧めします。

オイランヨウジの飼育


和名 オイランヨウジ
学名 Doryrhamphus (Dunckerocampus) dactyliophorus
トゲウオ目ヨウジウオ科ヒバシヨウジ属オイランヨウジ亜属
全長 18cm
分布 福島県・南日本の太平洋岸・伊豆諸島・琉球列島・インド洋・太平洋
岩礁及びサンゴ礁域に生息。吻から尾鰭付け根まで赤茶色の横帯があることが特徴。
(Dunckerocampus)はオイランヨウジ亜属の意

特徴

ヨウジウオのなかでも遊泳性が強いヒバシヨウジ属の仲間。

シマシマ模様がかわいいヨウジウオでアクアリウムにおいて人気が高い。

同属の魚でカスミオイランヨウジ 
Doryrhamphus (Dunckerocampus) naia

が日本に生息しているが、本種とカスミオイランヨウジは

尾鰭中央の白斑の有無で見分けることができる。

オイランヨウジ亜属のヨウジウオは、他のヨウジウオと違い育児嚢が未発達で

メスは直接オスの腹部に卵を産み付ける。

そのため卵を持っていない個体を、見た目で雌雄の判断をするのは難しい。

自然界では岩の隙間にいることが多く、ペアまたは単独でいる。

※カスミオイランヨウジ Doryrhamphus (Dunckerocampus) naia
オイランヨウジとの相違点は、尾鰭の白斑が無いこと、赤色横帯の境界がはっきりしていないこと(かすんでいることが和名の由来)、体色が黄土色ベースであることである。

飼育について

サンゴ水槽での飼育

ヨウジウオのようなプランクトンイーターはサンゴ水槽で自然に湧く

微生物を食べさせて飼育する方法が長期飼育のコツです。

しかし、一般的に売られているオイランヨウジはサイズが大きく

リーフタンクでの無給餌飼育では痩せがちになると考えられますので

活イサザアミを与えたり、冷凍ホワイトシュリンプに餌付けた方が

より長期飼育が狙えると考えられます。

昼間のライト点灯時はライブロックの陰に隠れていることが多く

水槽の主役となるような魚ではないような気がします。

他の魚との混泳

ヨウジウオの仲間は泳ぎが遅く、遊泳する他魚との混泳はストレスになる

恐れがありますので、あまりお勧めできません。

小型ハゼや、他のトゲウオ目の魚、マンダリンとの混泳がベストです。

同種・同属との混泳

基本的に問題ありませんが、同種同士を混泳すると小競り合いが

起こることもあるそうです。ペアでの飼育が望ましいといえます。

他のヨウジウオやタツノオトシゴとの混泳にも向いています。

餌について

プランクトンイータ―なので、餌には苦労します。

いちばん楽な方法はリーフタンクでの無給餌飼育です。

給餌飼育の場合、活きイサザアミ、活きブラインシュリンプならば

ほとんどの個体が食べてくれるはずです。

前者は餌代や安定供給が問題で、後者は水をかなり汚します。

冷凍ホワイトシュリンプを食べてくれる個体も多いです。

その場合かなり飼育が楽になり、長期飼育が狙えます。

人工餌には餌付かないので、根気よく冷凍ホワイトシュリンプに

餌付けることに専念しましょう。

ヨコエビは好き嫌いがあり、食べる個体と食べない個体がいます。

給餌飼育の場合は給餌頻度を高めにしないとすぐに痩せてしまいます。

ヨウジウオやタツノオトシゴの飼育は餌の面で大変ということは

以前から言っている通りです。

飼育環境・総評

性格 ☆☆☆☆☆ 非常に良い
耐病性 ☆☆★★★ 尾腐れ病に注意
対水質悪化 ☆☆★★★ 水質悪化には弱い
餌付き(人工餌) ★★★★★ プランクトン食

オイランヨウジは暖かい海に生息する魚なので、低水温に弱いです。

また、水質悪化にも弱い傾向があり、ブラインや冷凍餌の給餌飼育には

水質管理に注意が必要です。

尾鰭はカニに切られたり食べられたりすることがあります。

サイズの大きいボクサーシュリンプ(オトヒメエビ等)との混泳は

避けてください。捕まってしまい尾鰭だけしゃぶられ半殺しにされます。

尾鰭を無くすと細菌性感染症にかかり99%死亡します。

背鰭が透明で見えにくいですが、尾ぐされ病にかかると

非常に症状が分かりにくいので、進行させてしまい、やがて皮膚まで

達してしまい、この場合も99%の確率で死亡します。

進行も早いため、背鰭の白濁を確認したら早急に対処が必要です。

ヨウジウオ特有の病気があるらしく、腹周り(肛門や育児嚢)が変色し

数日以内に死亡する例があるようです。この病気は対処法が無いため、

罹ってしまった場合は絶望と考えてください。

採集

採集難易度 ☆☆☆★★
レア度 ☆☆☆*★
輸送に対する強さ ☆☆★★★

我々の仲間内での採集例は、一昨年の八重山諸島での一個体のみです。

分布域的に数が多いのは沖縄島以南です。

屋久島では本種よりもカスミオイランヨウジが優占しているとも

いわれています。本州沿岸でも採集できるかもしれませんが、

かなり深いところまで潜らないといないと思われます。

幼魚は稀にガンガゼの間にノコギリヨウジやハシナガウバウオに混じって

いるかもしれません。いずれにせよ、岩穴の隙間に多いので、

採集にはヨウジウオ専用の金魚網が必要になります。

SNS×うみのおさかな

うみのおさかなのいろいろ
SNSアカウント

みんカラ

みんカラ
みんカラアカウントです。車のパーツレビューはこちらをご覧ください。

twitter

Twitter
https://twitter.com/azumagami
東上の個人的なネタです
近況はこちらを見てください。

Contents



忙しくても維持できる海水魚水槽をコンセプトに、更新を再開しました。初期の頃の水槽の様子と現在の様子ががらりと変わっており、その変化と、東上の成長が分かるコンテンツとなっております。



沖縄・高知・和歌山・伊豆等をメインフィールドに、熱帯海水魚の素潜り採集をするコンテンツです。鼓膜穿孔が慢性化しており、更新できるかは未定です。



鉄道模型のいわゆる「ジオラマ」を1畳サイズのレイアウトに実現することを目標に、トンネルや草の生やし方など初心者の初心者による初心者のためのレイアウト製作の様子をお伝えします。現在更新を停止しています。



東上が飼育したことのある海水魚について、東上的飼育の方法について紹介するコンテンツです。特にカミソリウオやタツノオトシゴ、ヨウジウオのような特殊な魚を中心に展開しております。日本産の魚種に関しては、採集についても取り上げています。



2014年10月、小笠原諸島父島へ行って参りました。シュノーケリングに海水魚採集、魚突きと、海の遊びを満喫した滞在でした。ユウゼンやレモンピールエンゼル等、日本では小笠原でしか見られない魚種と出会うことができました。小笠原諸島で海水魚採集をする際の解説や注意点はこのリンクをご覧ください。



CB400SBRevoに乗ってツーリング先での出来事や、近畿・中部周辺のツーリングに最適そうな道をレポートしていきます。高知県でのキャンプツーリング×海水魚採集にも挑戦してみました。



ロードスター(NC)の記事です。バイク以外の足が増えたので、夜間の寒い星空撮影も行く機会が増えそうです。ロードスターの紹介やツーリングの記事はここからどうぞ。



星と、風景を一緒に撮るという写真です。なかなか条件が揃わず、撮影は失敗の方が多いですが、条件が揃った時の美しい風景を追い求めて、新月の夜に活動しています。

Profile

HN:
東上本出(あずまがみもといで)
性別:
男性
趣味:
海水魚飼育・採集 鉄道模型 バイク
自己紹介:
500000アクセス達成。1年で100000ペースで伸びています。いつもありがとうございます。


カウンター カウンター

Links

1.023world

海洋の仕組み・細菌や微生物から学ぶマリンアクアリウムと、関連する自作器具の制作方法の公開、ヤドカリ検定・ヤドカリ図鑑のヤドカリパーク、その他関連リンクも満載。

近畿大学水族環境学研究室

東上の母校である近畿大学農学部の研究室です。海水養殖における白点病の原因であるC.irritansについて研究をしています。白点病に関する記事の参考文献とさせていただきました。

Chatan`s Blog

韓国で海水魚採集をされているChatanさんのブログです。日本で採集される魚種の紹介の記事で、当サイトの写真を採用していただきました。外国にも海水魚採集の文化があるとは驚きです。

【金魚の飼い方】初心者向け飼育方法と金魚の種類をご紹介

金魚の飼育方法と、種類について解説をしているサイトです。淡水魚飼育は金魚に始まりますが、金魚に終わるとも言います。淡水魚飼育の基礎を学んでみては。



About Link

当ブログはリンクフリーです。相互リンクをご希望のサイト様は、コメント欄またはmb86hh65ml☆gmail.comにご連絡ください(スパム対策のため@を☆に変えてあります)。たくさんのリンクお待ちしております。

Comments

[10/01 ヤドカリ三郎]
[04/18 uzumaki]
[07/28 rad]
[07/18 NONAME]
[05/09 bob]
[03/27 takosuke]
[11/02 川前 よしゆき]
[04/06 MF]
[12/16 らんぱぱ]
[09/14 なみほ]