うみのおさかなのいろいろ@東上本出の日記

海水魚採集 海水魚飼育 飼育各論 小笠原 星景撮影 CB400SB Roadster CX-30

うみのおさかな以外の話題がメインになってしまったブログ主の○○やってみたシリーズ。水槽の更新再開しました。

カクレクマノミの飼育

久々にブログタイトルにふさわしい更新内容になります。

今回は、海水魚飼育の定番魚である、カクレクマノミについて

東上的、飼育各論をお送りいたします。

和名 カクレクマノミ
学名 Amphiprion ocellaris
スズキ目スズメダイ科クマノミ亜科クマノミ属
全長 8cm
分布 奄美大島以南 東部インド洋~西部太平洋の熱帯域
サンゴ礁域の水深1~15mに生息

特徴

熱帯のサンゴ礁域に生息するクマノミ属の一種。

オレンジ色の体に3本の横帯があり、センジュイソギンチャクや

ハタゴイソギンチャクと共生することが知られている。

雄性先熟で性転換をするため、比較的小さな個体は性的に未成熟、

基本的にイソギンチャク内で群れ(ファミリー)を形成し

そのなかで最も大きな個体は雌で、次に大きな個体がペアの雄。

そのほかの個体は繁殖に参加しない同居人のような存在である。

飼育について

サンゴ水槽での飼育

カクレクマノミは、SPSに興味を示すことはありませんが、

ハナサンゴなどのLPSには、イソギンチャクと似ているため

興味を示す場合があります。実際に見たことはありませんが、

他サイト様で、LPS系のサンゴに体を擦り付けるなどの行動が

確認されています。ソースは以下↓

アクアハーミット様 https://www.aquahermit.com/ocellaris_sango
Do not live to eat様 https://yowatana.com/marine-aquarium/add-clownfish/

特に、ハナサンゴに興味を示した事例が多いようです。
【ツツマルハナサンゴ Euphyllia glabrescens】

ただし、気を付けなければならない点は、ハナサンゴなどのLPSにとって

カクレクマノミが体を擦り付けたり、入ったりすることは

彼らにとって好ましいことではないので、調子を落としている場合に

ハナサンゴにストレスを与え、死んでしまう場合もあると思います。

とはいえ、サンゴ水槽において、イソギンチャクを飼育することは

非常に困難であるため、イソギンチャクの代用としてLPSを水槽内で

飼育して楽しんでおられる方も中にはいるようです。

イソギンチャクとの共生を楽しむ場合

カクレクマノミが自然界において好むイソギンチャクは

ハタゴイソギンチャクやセンジュイソギンチャクです。
【ハタゴイソギンチャクとカクレクマノミ幼魚(2cm 1m 沖縄県石垣島)】

水槽内でイソギンチャクを飼育するのは難しく、水質や水流、光量など

様々な条件を考慮しなければなりません。また、イソギンチャク自体が

水槽内で都合の良い場所を探して動き回るため、ストレーナの巻き込みに

注意したりするなど、ヘタなサンゴよりも飼育のハードルが高い気がします。

イソギンチャクの毒性の強さと、動き回る性質からSPSやLPSサンゴと

同居させることは、かなり上級者向けだと思います。

特にハタゴイソギンチャクは毒性が強く、大型に成長するため、

クマノミ以外の魚と同居することも難しいようで、自然界に近い形で

飼育を行いたければ、60cm以上の大きさの水槽で

イソギンチャクとクマノミのみを飼育することになると思います。


では、ハタゴやセンジュ以外のイソギンチャクには入らないかと

いうと、そうでもないようで、時間がかかるようですが

ほかの種類のイソギンチャクにも入る場合があるようです。

こちらは、東上が飼育していた初代のカクレクマノミです。

イソギンチャクの種類はサンゴイソギンチャクです。

このように、ハタゴやセンジュではないイソギンチャクでも

時間をかけて慣らせば共生が可能ではないかと考えられます。

他の魚との混泳

カクレクマノミの性格は比較的おとなしく、チョウチョウウオなどと

の混泳が可能であると考えられます。口の大きい肉食魚を避け

あまり性格がきつすぎない魚を選べば多くの魚と混泳させることが

可能であると考えられます。

スズメダイ科に属する魚は、性格がきつく、また近縁の種であるため

食性や縄張り意識の部分が似ており、

45cm以下の小型水槽では難しいと考えられます。

また、カクレクマノミの性格が比較的おとなしいのは、

体長が4cmぐらいまでで、成長に伴って性格がきつくなっていきます。

そう考えると、カクレクマノミの体格を上回るような

口の小さい雑食、藻食性の魚がいいのではないでしょうか。

定番の組み合わせ、ナンヨウハギやキイロハギ、ヒフキアイゴ

ソメワケヤッコなどの中型ヤッコが良いのでなないかと思います。

イソギンチャクを入れて飼育する場合は、縄張り意識が強くなるため

攻撃性が高くなると考えられるので、注意が必要です。

同種・同属間の混泳

写真は先住のカクレが後から入ってきたカクレクマノミを威嚇

しているのですが、この時威嚇された側がプルプルと体を震わせて

服従を示しています。一方がボス、片方が従属する関係です。

この関係が出来上がれば、水槽内で同種の混泳が可能です。

カクレクマノミは群れの中で一番大きな個体が雌になり、

雌がそれ以外の個体の中から雄を選んで、自然にペアが形成されます。

ペアを形成すると、それ以外の個体は排除されるため、

上の写真の2匹が今後ペアを組むと仮定するならば、

3匹以上の数のカクレクマノミを飼育することは難しくなってきます。

しかし、条件を満たせばペアの2匹に加えてもう1匹の同居が可能なようです。

それについて、東上は以下の実験を行いました。

写真の左側の2匹は天然のペア個体です。ペアが入っている水槽に後から

未成熟の小さな個体を入れると、ペアはこの小さな個体を排除しようと

しますが、小さな個体が服従のポーズをとって無害アピールをすると、

ペアの2匹は小さな個体に攻撃しなくなりました。つまり、この小さな個体は

自然界のクマノミの群れに見られる繁殖に参加しない同居人

ということになります。ペアの2匹に気に入られれば、未成熟の個体

であることを条件に同居が可能なのではないかと考えられます。

もしここで気に入られなければ、攻撃され続け死んでしまうでしょうね。


他種のクマノミとの混泳は難しく、喧嘩をしてしまいます。

90cm以上の水槽で、両端にイソギンチャクを置いて

縄張りを二分する形にすれば可能であると考えられますが、

小さい水槽ではまず無理でしょう。

餌について

ショップに出回っている安価な個体はブリード個体で

人工餌に慣らされているので、餌付けは必要ありません。

成長に合わせ、口に入る大きさの沈下性の餌をあげましょう。

天然の採集個体を持ち帰り一時的に預かったことがありますが、

こちらも餌付けは容易で、メガバイトなどを投入すれば

自然と食べていました。

飼育環境・総評

性格 ☆☆☆☆★ 比較的おとなしい
耐病性 ☆☆☆☆* トリコディナ病に注意
対水質悪化 ☆☆☆☆★ 硝酸塩は50ppm以下
餌付き ☆☆☆☆☆ かなり餌付きやすい

スズメダイの仲間ですので、飼育難易度はあまり高くなく、

初心者にもお勧めできる海水魚です。

現在東上が飼育しているカクレクマノミは3年目に入りました。

その間病気は一度も出ていません。

特筆すべき病気として、トリコディナ病に注意が必要です。

トリコディナ病は、トリコディナ原虫が寄生して引き起こされる病気で

体表に半透明の膜が張ったような状態になり、短時間で死に

いたる病気です。原因は水質悪化による魚の体力・免疫低下です。

日ごろからこまめに水替えを行い、水質管理につとめていれば

怖くはない病気ですが、カクレクマノミは特にこの病気に

かかりやすいといわれているので、水槽に入れてから一週間は

注意深く様子を見てください。

ショップでの個体選びですが、安価なものはブリード個体で

体色のオレンジが少し薄いです。天然物は色が濃いものが多いです。

ブリード個体はイレギュラーバンドや黒化個体(ブラックオセラリス)

など、付加価値の高い個体が選べることがメリットです。

天然個体は、ブリードに比べると高価で取引されています。

採集

採集難易度 ☆★★★★
レア度(採集家基準) ☆★★★★
輸送に対する強さ ☆☆☆☆☆

分布は奄美大島以南です。奄美大島以南のサンゴ礁にいって

ハタゴイソギンチャクを覗けば高確率でカクレクマノミがいます。

近づくとイソギンチャクに隠れ、間からこちらを覗いて

くるので、採集は容易です。ただし、その採集の容易さから

映画「ファインディング・ニモ」で一躍有名になった際には

乱獲されてしまったという話を聞いたことがあります。

(そもそもニモはA.ocellarisではなくA.perculaといわれていますが)

ここでは今までの例に倣って採集に関する記述をしておりますが、

カクレクマノミを入手したい場合は、ショップのブリード個体を

購入し、育てるのが自然環境の保護面で最善かと思われます。

特に、採集が容易で観賞価値が高い魚に関しては同じことがいえます。

採集家の皆様には、必要最低限の数を持ち帰っていただくよう

また、転売目的での採集は行わないようお願い申し上げます。

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