うみのおさかなのいろいろ@東上本出の日記

海水魚採集 海水魚飼育 飼育各論 小笠原 星景撮影 CB400SB Roadster CX-30

うみのおさかな以外の話題がメインになってしまったブログ主の○○やってみたシリーズ。水槽の更新再開しました。

ソメワケヤッコの飼育

ソメワケヤッコを飼育し始めて2か月が経ったので、

東上的、飼育各論をお送りします。

和名 ソメワケヤッコ
学名 Centropyge bicolor
スズキ目キンチャクダイ科アブラヤッコ属
全長 15cm
分布 南日本の太平洋岸・琉球列島・インド・太平洋
岩礁域、サンゴ礁域の水深数m~20mに生息

特徴

サンゴ礁域でよくみられる普通種のヤッコ。

紺と黄色の二色に染め分けたような体色が特徴。

雌性先熟で性転換をするが、雌雄で色彩や体格の差は

殆どないため、雌雄判別は見た目では困難。

飼育について

サンゴ水槽での飼育

ソメワケヤッコは、サンゴを食べてしまいます。

特にLPSやSPSは好んで食べてしまう場合が多く、

ハナガタサンゴ類は特に狙われます。

ソフトコーラルは個体差にもよりますが、食べられてしまう場合があります。

例え初めはソフトコーラルを突いていなくても、

後からつつきだすようになることもあります。

一度つつきだした個体は人工餌に慣れても

サンゴを食べ続けることがあるので注意が必要です。

他の魚との混泳

やや気が強い魚です。自分よりも弱い魚を追いかけたりすることがあります。

しかし、小さい個体は自分より大きい混泳魚に怖気づいてしまい、

ライブロックに隠れて出て来なくなってしまうこともあります。

たいていの場合大きくなると性格が悪くなり、

大型ヤッコとも張り合って混泳できるくらいになります。

小さいうちは、水槽内ではソメワケヤッコがボスになるように

混泳魚を選ぶと良いと思います。

その場合ソメワケよりサイズの小さいスズメダイや、ハタタテハゼ、

ハナダイ辺りが混泳に向いていると思います。

同種・同属間の混泳

同種の混泳は、水槽内でペアリングできれば可能であると思われますが、

水槽内でのヤッコのペアリングは難しいですので、

同種の混泳はするべきではないと思います。

他種のヤッコとの混泳は、激しく争う場合がありますので、

混泳させないか、隔離などの措置をとる準備が必要です。

ヤッコ同士の混泳は難しいので、

初心者のうちは1水槽に1匹が原則だと思います。

餌について



ソメワケヤッコというと、餌付きにくいイメージがあります。

おそらく、薬物採取や輸送のストレスが影響しているのだと思います。

ショップで購入するときは、粒エサOKの個体を選んだほうが無難だと思います。

餌付けをする場合は殻付きアサリから始め、

すり潰したアサリに人工餌を混ぜたものを与えるというように

ステップアップしていくと良い結果が出るかもしれません。

私のソメワケはセナキルリスズメが人工餌を食べるのを見て、

人工餌を食べるようになりました。

混泳魚の餌食いの影響もあると思います。

人工餌は基本的に植物系の餌をあげるといいですが、

たまには冷凍ブラインシュリンプ等をあげても良いと思います。

私のソメワケのように採集個体の場合、比較的餌付きやすいかもしれません。

飼育環境・総評


アップにするとなんだか間抜けで笑える顔

性格 ☆☆☆★★ やや気が強い
耐病性 ☆☆★★★ ヤッコなので白点・トリコに注意
対水質悪化 ☆☆*★★ 硝酸塩は20ppm以下
餌付き ☆☆*★★ 個体差によるが、やや餌付きにくい

ヤッコですので、チョウチョウウオ程ではありませんが、

病気にかかりやすいです。病気にかからないために、

硝酸塩は出来る限り低い数値を保ってください。

水槽導入当初は、トリコディナ症に注意してください。

寄生虫を持っている可能性があるので、水槽に入れる前に

2分程淡水浴をしたほうが良いと思います。

クリーナーシュリンプ等のエビとの混泳は相性がいいです。

ショップで安価で売られている個体は、

薬物採取された個体の可能性があります。そういった個体は

飼育開始から数週間で突然死ぬことがあるので、

個体選びは慎重に行って下さい。

採集

採集難易度 ☆☆☆☆*
レア度(採集家基準) ☆☆☆☆★
輸送に対する強さ ☆☆☆★★

分布は南日本の太平洋岸・琉球列島です。

10mくらいの水深のサンゴ礁・岩礁にいるイメージが強いです。

2013年は高知県西岸で1匹採取し、写真に使用しているのはその個体です。

私は水深おおよそ8m程の場所で採集しました。

運が良ければもう少し浅い場所で遭遇できると思います。

アブラヤッコ属の魚は逃げ足が速く、割と賢いので

素潜り採集中級者以上向けの魚とし、難易度は4.5と評価しました。

ダイバーにとっては浅所に生息する普通種とはいえ、採集家目線では

遭遇して実際にキャッチできることは少ないと思うのでレア度は4としました。

輸送に対する強さは普通の魚並みです。

カミソリウオの飼育



和名 カミソリウオ
学名 Solenostomus cyanopterus
トゲウオ目カミソリウオ科カミソリウオ属
全長 15cm
分布 南日本の太平洋岸・伊豆諸島・琉球列島・インド・西太平洋
沿岸浅所の岩礁域やサンゴ礁の付近の海藻床や砂底に生息。

特徴

かつてはフウライウオ、ノコギリフウライウオと別種とされていたが

近年の分類学の再検討により同一種であることが分かった。

頭部をやや下に向け、漂うように泳ぐ姿は海藻そのものである。

カミソリウオ科の魚は雌に育児嚢がついており、受精卵を保護する。

色彩変異に富み、赤、透明、緑、茶、黄色等が存在する。

肉食性で小型の甲殻類を捕食する。

飼育について

サンゴ水槽での飼育

サンゴ水槽での飼育が可能です。

ただし、後述しますがヨコエビを食べる個体は少ないため

自然発生するヨコエビを食べさせることができる

サンゴ水槽での飼育の恩恵は受けられないかもしれません。

他の魚との混泳

ゆらゆらとゆっくり泳ぐ魚ですので、活発な魚との混泳には向いていません。

タツノオトシゴやヨウジウオの仲間と混泳させることをお勧めします。

同種・同属間の混泳



この写真はペアを形成したカミソリウオが単独でいる

別のカミソリウオに攻撃を仕掛けようとしている様子です。

この写真からいえることは、水槽内でペアを形成した個体がいる場合、

同種の魚の混泳には注意すべきということです。

近縁のホソフウライウオを混泳させた場合でも同じ現象が

起こる可能性があります。


※ホソフウライウオ Solenostomus leptosoma

カミソリウオに似るが尾鰭がV字に切れ込んでいるように見え

体は透明で皮弁がついているものが多く、細長い口を持つのが特徴。

両者の判別は見た目では難しい。


餌について

カミソリウオは小型の甲殻類を食べます。

今回4個体を飼育する機会があったのですが、

食べた餌と個体サイズを表にまとめました。


No. 性別・個体サイズ・備考 食べた餌
雄とみられる個体 7cm 活イサザアミ
雌とみられる個体 5cm 水質急変で死亡 活イサザアミ
雌とみられる個体 6cm 活イサザアミ 冷凍イサザアミ
雌とみられる個体 6cm 餓死 活イサザアミ

4個体中1個体が冷凍イサザアミまで餌付きました。

No.2の5cmの個体は冷凍イサザアミを試す前に死亡しているため

小さな個体ほど、冷凍餌に餌付きやすい傾向があるかどうかは

分かりませんでした。

他にも、Sサイズのヨコエビ。活ブラインシュリンプを試しましたが、

全ての個体において、どちらにも興味を示しませんでした。

No.4の6cmの個体は活イサザアミのストックを切らしたため

冷凍イサザアミに餌付かず餓死という結果になりました。

以上から分かるように、

全ての個体が活イサザアミを食べたため、カミソリウオには

活イサザを餌として与えればほぼ確実にキープが可能と考えられます。

冷凍餌には餌付かない個体も多いと考えられます。

活イサザアミの調達は難しく、高価であるためカミソリウオの

飼育は餌の面で難しいということが分かります。

ヨコエビはおそらくほとんどの個体が食べないと予測されます。

サンゴ水槽での無給餌飼育は出来ない見方が強いです。

活ブラインシュリンプを給餌する飼育も出来ないと思われます。

飼育環境・総評

性格 ☆☆☆☆★ 良い
耐病性 ☆☆*★★ 白点病に注意
対水質悪化 ☆☆★★★ 水質の急変に弱い
餌付き(人工餌) ★★★★★ 活餌フィーダー

カミソリウオは、水質の急変に弱く水替え時には注意が必要です。

大量換水を行う際はゆっくりと行って下さい。

性格は良いですが、混泳させていたハナタツにちょっかいをだすことがありました。

同じ水槽に小さなエビを入れていくと、

カミソリウオが食べてしまうことがあります。

ヨウジウオやタツノオトシゴは病気には強いですが、

カミソリウオは白点がつきやすいようです。

採集

採集難易度 ★★★★★
レア度 ☆☆☆☆★
輸送に対する強さ ☆*★★★

分布域は主に南日本の太平洋岸と琉球列島ですので、

その地域の沿岸の浅海域であれば採集できます。

砂底の海藻片に擬態していることが多く、

なかなか見つけるのは難しいかもしれません。

ほとんどは茶色の個体で、たまに透明や緑の個体がいます。

赤色の個体は珍しく、高価で取引されます。

輸送の際は気泡の誤嚥を防ぐため、慎重に行って下さい。

2013年は当たり年だったのか、私の周りでは6個体採集されています。

タツノオトシゴ(ハナタツ)の飼育

 
和名 タツノオトシゴ
学名 Hippocampus coronatus
トゲウオ目ヨウジウオ科タツノオトシゴ属
全長 
8cm
分布 北海道以南・南日本・伊豆大島・朝鮮半島南部
主に浅海域の藻場に生息。頭頂部が著しく高いことが特徴。

特徴

タツノオトシゴ属の魚はオスの育児嚢にメスが産卵し

ふ化した幼魚がオスから産み出されるという特異な生態で知られる。

最近まで、タツノオトシゴと呼ばれていたが、

近年ハナタツとタツノオトシゴの2種類に改められた。

本種とハナタツは、頭頂部の長さで見分けられ、

タツノオトシゴ頭頂部(頂冠)が著しく高いことが特徴だが

頂冠が短い個体や、枝状突起が発達した個体も存在する。

タツノオトシゴの体色は黄色や茶色の個体が多い。

頂冠がやや長く、枝状突起が生えているものはハナタツの可能性が高い。

また、ハナタツは赤色をした個体が多い。

一般的に頂冠の長さで見分けるが、両者とも個体差が大きいため、

上の写真の個体のように頂冠の長さが中途半端で枝状突起が多い

個体の場合見た目では分類が難しい。

その場合は体輪数や背鰭条数で見分けることになるため、

アクアリストが同定するのは難しい。


飼育について

サンゴ水槽での飼育

サンゴ水槽での飼育は可能です。

ただし、活餌ブラインや生餌を給餌する場合、

水質にシビアなサンゴ飼育と両立するのは高度な飼育技術を要します。

他の魚との混泳

遊泳能力が低いので、他種との混泳は避けるべきです。

タツノオトシゴの仲間やヨウジウオの仲間と混泳させることをお勧めします。

同種・同属間の混泳

問題ありません。

タツノオトシゴの仲間は水槽内での繁殖が比較的容易なので、

繁殖に挑戦されている方も多いです。

餌について

タツノオトシゴの仲間は肉食性です。

ヨウジウオ同様、飼育において最もネックとなるのが餌の問題です。

オオウミウマ等の大型種は比較的冷凍餌に餌付きやすいといわれていますが、

ハナタツやタツノオトシゴは、生き餌しか食べない個体が多いです。

ヨコエビなどの生き餌の確保はコスト面で大変であり、

活餌ブラインシュリンプは非常に水を汚すため、水替えが大変です。

また、ブラインは栄養面で問題があるといわれています。

小型の個体であれば、仕方なくブラインを給餌するしかありませんが、

大きな個体には、ヨコエビのSサイズを給餌してください。

そして、こまめに給餌をする必要があります。

無給餌飼育は可能かどうか分かりませんが、

大型の個体をまかなうとなると難しくなってくると思われます。

写真のような3cm程の個体ならば可能であるかもしれません。

飼育環境・総評

性格 ☆☆☆☆☆ 非常に良い
耐病性 ☆☆☆☆★ 強いが転覆病に注意
対水質悪化 ☆☆☆☆★ 耐病性に準ずる
餌付き(人工餌) ★★★★★ プランクトン食

ハナタツ、タツノオトシゴともに温帯域に生息する魚なので、

水温は26度以下にキープする必要があります。

遊泳能力に乏しいので水流が強いと体力消耗してしまいます。

水流は全くなくてもいいほどです。

カニやエビとの混泳も避けてください。

また水槽内に人工的なもので良いのでタツノオトシゴが

掴まってやすめるようなものを入れておくと良いです。

サンゴであればヤギが丁度いい止まり木になります。

普通の魚がかかるような白点病等にはほとんどかかりませんが、

タツノオトシゴ特異の病気に転覆病があります。

これは、何らかの原因により空気が体内に入ってしまい、

浮き袋による浮力の調節ができなくなり、水面付近に浮いてしまうというものです。

有効な治療法は無いとされていますが、

採餌時に空気を飲んでしまったことが原因の場合は、

水面付近に止まり木を設け餌を食べさせ自然回復を待つのが手です。

細菌性の感染症により空気が溜まったと考えられる場合は、

薬浴が良いとされています。

荒療治ですが、お腹を押して空気を出すという方法もありますが、

よほど空気が溜まって重症でない限りお勧めしません。

枝状突起の多い個体は、飼育環境により枝状突起が無くなりやすいです。

擬態できる海藻を水槽内に入れておくと防ぐことができると考えられます。

採集

採集についてはこちら→タツノオトシゴ採集

採集難易度 ☆★★★★
レア度 ☆☆☆☆★
輸送に対する強さ ☆☆☆★★ 

分布域は南日本なので、南日本の太平洋側でも日本海側でも採集できます。

採集方法は、漁港の岸壁からリーチの長い網を使って流れ藻を

採り、その中をよく探すといる場合があります。

この方法で採れるのはほとんどがタツノオトシゴでしょう。

採集難易度は最も簡単な方法で採ることができる魚なので、

1としました。ただし、なかなか見つけられないのでレア度は4です。

ノコギリヨウジ及びヒバシヨウジの飼育

ノコギリヨウジ

和名 ノコギリヨウジ
学名 Doryrhamphus (Doryrhamphus) japonicus
トゲウオ目ヨウジウオ科ヒバシヨウジ属ヒバシヨウジ亜属
全長 7cm
分布 南日本の太平洋岸・伊豆諸島・小笠原諸島・琉球列島・台湾
10m以浅の岩礁に生息。ヒバシヨウジに似るが、青色縦帯が細い。尾鰭の黄色斑は普通3個。

特徴

ヨウジウオの中でも遊泳性であるヒバシヨウジ属の仲間。

ヒバシヨウジに似ており、ヒバシヨウジと混同されていたが、

1975年にヒバシヨウジの亜種とされ1981年に別種であることが分かり学名がつけられた。

学名のJaponicusは日本近海固有種であるため。

ヒバシヨウジと同じくクリーナーフィッシュである。

普通種であり、岩陰やガンガゼの間でよく見られる。

いつもの写真。右はメス、左がオス。

見分け方はオスにはメスに預けられた卵をしまっておく育児嚢がついており

ペアの場合、卵を持っているときは卵の有無で見分けられる。

卵を持っていない場合は、オスの腹にはV字の切れ込みがあるので

それで見分けることができる。

ヒバシヨウジ

和名 ヒバシヨウジ
英名 Bluestriped pipefish
学名 Doryrhamphus (Doryrhamphus) excisus excisus
トゲウオ目ヨウジウオ科ヒバシヨウジ属ヒバシヨウジ亜属
全長 6cm
分布 南日本の太平洋岸・八丈島・琉球列島・小笠原諸島・インド汎太平洋
学名()内はヒバシヨウジ亜属の意。ノコギリヨウジに比べ青色縦帯が太く、尾鰭の黄色斑は散在している。50m以浅の岩礁域、サンゴ礁域に生息する。

飼育について

ノコギリヨウジとヒバシヨウジの飼育方法は基本的に同じです

サンゴ水槽での飼育

サンゴ水槽での飼育が可能です。

というより、サンゴ水槽での無給餌飼育をお勧めします。

好日性サンゴを飼育するためには強い光を当てますが、

本種は暗いところを好むので、ライト点灯中はライブロックの陰に隠れ

出てこないことが多いです。

消灯すると、岩陰から出てきてライブロックや水槽面のコペポーダをバクバク食べます。

他の魚との混泳

性格は温和で、臆病なハゼ等と混泳が可能です。

ヨウジウオの仲間は泳ぎが遅いので、魚中心の水槽には向いていません。

ヨウジウオやタツノオトシゴの仲間・ネズッポ等との混泳が向いています。

同種・同属との混泳

同種間ではペアでの飼育が望ましいです。

ペア同士ではいつも寄り添って泳いでいてかわいらしいです。

見ているこちらが羨ましくなるくらい仲がいいです。

オス同士を混泳させるとケンカしてしまいます。

ヒバシヨウジ亜属の魚と(ノコギリヨウジ・ヒバシヨウジ・セスジヨウジ)

同じ遊泳性であるオイランヨウジ、カスミオイランヨウジ※

との混泳は基本的に問題ないですが、

前者2種は近縁であるため、例えばノコギリヨウジ♂とヒバシヨウジ♂と

どちらかの種の♀を混泳させた場合、どうなるか試したことはありませんが

もしかするとケンカになるかもしれません。(あくまで憶測です)

※カスミオイランヨウジ
元々海外で報告されていたオイランヨウジの近縁種が日本でも発見されたので、
和名がつけられた。学名はDoryrhamphus (Dunckerocampus) naia。()内は、
オイランヨウジ亜属の意。オイランヨウジとの相違点は、尾鰭の白斑が無いこと、
赤色横帯の境界がはっきりしていない(かすんでいることが和名の由来)、
体色が黄土色ベースであることである。

餌について

タツノオトシゴを含むヨウジウオ科の魚を飼育する際のネックは

ズバリ餌の問題です。

本種を含むヨウジウオの仲間はプランクトン等の小さい餌しか食べません。

しかも、活き餌でないと食べない個体もいるため、餌の確保が難しいです。

また、消化管が短いため食いだめが効かず、こまめな給餌が必要です。

餌の種類としては、第一に活イサザアミを与える方法があります。

ただし活イサザアミは高価であり、安定して手に入るとも限りません。

次に候補として挙がるのがブラインシュリンプをふ化させて与えるという方法です。

私はこの方法で半年以上ヨウジウオをキープしてきました。

この方法は前者に比べ安価でありほとんどの個体が食べてくれることがメリットですが、

非常に面倒であり、また水を汚します。

水が汚れると、写真のようなベタベタしたシアノバクテリア(赤ゴケ)が

生えてきてしまい水槽の見栄えが最悪になります。

この給餌方法を実践する場合はベアタンク(砂やライブロックを入れない)

で行ったほうが無難だと思われます。

どうしてもこの給餌方法でサンゴを一緒に飼育したいならば、

極力一回の給餌量を減らし、かつ回数を多く与え

水槽は総水量の多いオーバーフロー水槽に強力なプロテインスキマーを

取り付ける必要があると思います。

そして、第3の選択肢は冷凍餌です。

ヨウジウオに与えるとするならば

冷凍ブラインシュリンプ
冷凍ブラインシュリンプベビー
冷凍ホワイトシュリンプ(イサザアミ)

等があります

この方法は一番楽ですが、ヨウジウオが食べてくれるとは限りません。

私の飼っていたノコギリヨウジは冷凍餌には見向きもしませんでした。

また、ブラインシュリンプ同様非常に水を汚すため、注意が必要です。

私はヨウジウオに給餌をする飼育方法で9か月程飼ってきましたが、

水槽の水が汚れすぎるため、何度も水槽をリセットしています。

つまり、ヨウジウオに給餌をする飼育方法は得策ではありません。

そこでお勧めしたいのが、無給餌飼育です。

無給餌飼育とは水槽のライブロックやサンゴから

自然に発生するコペポーダやヨコエビなどを与えて魚をキープするというものです。

この方法は、飼育できる匹数が制限されるのと、

水槽にコペポーダやヨコエビが自然発生していることが条件ですが、

ある程度の量のライブロックを入れ、サンゴを飼育することで実現可能です。

当然サンゴをキープするだけの飼育技術が要求されますが、

それは、ヨウジウオの飼育は生半可な気持ちでは出来ない

ということを意味すると考えてください。

飼育できる匹数ですが、

45cm水槽で1匹
60cm水槽で2匹
90cm水槽で3匹

程度が相場だと考えています。

最初はショップでヨコエビを100匹ほど購入し、水槽に入れておくと、

安定的な供給状態になりやすいです。

当然ですが小さい水槽のほうが餌の安定供給が難しいということを

頭に入れておいてください。

多くの方は90cm以上の大型のリーフタンクの脇役として

ヨウジウオを飼っている場合がほとんどです。

私は60cm水槽でヨウジウオの無給餌飼育をしていますが、

やはり痩せやすいです。

なので、時々活餌イサザアミを与えています。

飼育環境・総評

性格 ☆☆☆☆☆ 非常に良い
耐病性 ☆☆☆☆★ 強い
対水質悪化 ☆☆★★★ やや弱い
餌付き(人工餌) ★★★★★ プランクトン食

ノコギリヨウジに関しては、温帯域に生息する魚なので、

比較的低水温に強いと思われます。

ヒバシヨウジはノコギリヨウジよりも南方の魚ですので

低水温に弱いと考えられます。

寝るときはライブロックの上や裏側で寝るので、

カニ等に派手な尾ビレを切られたりすることが多いです。

また、大きなオトヒメエビやスカンクシュリンプ等を混泳させると

捕まってしまうこともあります。魚以外の混泳にも気を使って下さい。

病気に対しては非常に強く、ほとんどかかりません。

臆病な一面もあるので水槽に近づく時は驚かさないようにしましょう。

採集

採集難易度 ☆☆☆★★
レア度 ☆☆★★★
輸送に対する強さ ☆☆☆★★

ノコギリヨウジ

分布域は南日本の太平洋岸、伊豆諸島、小笠原諸島、琉球列島、

となっていますが、主に南日本の太平洋岸で多く見られます。

現在私が飼育しているノコギリヨウジのオスは、

和歌山県白浜のタイドプールでペアで採集されたものです。

タイドプール内に入り込むことはあまりなく、

通常は岩の裂け目の間にいることが多いです。

そのため、採集はやや難しいかもしれません。

体が細いので、専用の目の細かい金魚網等があると採集が捗ります。

輸送に関しては、強くも弱くもなく普通といった印象です。

ヒバシヨウジ

分布域は南日本の太平洋岸・八丈島・琉球列島・小笠原諸島で

ノコギリヨウジと重なっていますが、本種は亜熱帯~熱帯域に多く

生息しているため、本州沿岸ではノコギリヨウジの方が数が多く

本種は本州沿岸ではレアです。しかし、沖縄にいくとレア度が逆転し

ヒバシヨウジのほうが多くなります。

ノコギリ同様岩の裂け目の間にいるため採集には専用の装備を要します。

テングカワハギの飼育



和名 テングカワハギ
英名 Orange spotted filefish
学名 oxymonacanthus longirostris
フグ目カワハギ科テングカワハギ属
全長 10cm
分布/和歌山・琉球列島・紅海を除くインド・太平洋
サンゴ礁域に生息。礁池内など浅所に見られる。サンゴの枝間をペアで泳いでいる。

特徴

青地にオレンジ色の斑点が縦に並ぶ派手な模様のカワハギの仲間。

小型種で全長は10cm程である。

体は側扁しており、吻は円筒形で細長い。

サンゴのポリプ専食で、ミドリイシが減少すると急激に数が減ってしまう。



オスの腹ビレには白い斑点があるので、それの有無で雌雄を見分けることができる。

特に小さい個体では斑点が明瞭でない場合があるので判別が難しい。

上がメス下がオス


飼育について

サンゴ水槽での飼育

サンゴのポリプを専食としている本種は、SPS・LPS水槽での飼育はできません。

特にミドリイシやコモンサンゴ、ハナヤサイサンゴはもろに食害を受けます。

大型のすばらしいリーフタンクを持っている方の中には飼育されている方も

いらっしゃいますが、基本的にハードコーラル水槽での飼育は不可です。

ソフトコーラルは食べないのでソフトコーラル水槽ならば収容可能です。

他の魚との混泳

性格はおとなしく、動きも遅いほうなので臆病な魚との混泳に向いています。

気性が荒い魚や、泳ぎが活発な魚との混泳はあまり向いていません。

餌を食べるのが遅いので、泳ぎが活発な魚と混泳させると痩せてしまいやすいです。

同種・同属との混泳

基本的に単独か、複数のメス、またはペアでの飼育となります。

オス同士を混泳させた場合ケンカをする場合があります。

同属間では問題はなさそうです。

餌について

サンゴのポリプを専食としているので餌付けに難があります。

昔からアクアリウムに関係の深い魚で、ショップでも入手できますが

状態が良い個体を選ばないと餌付きにくい印象です。

近年では入荷時の状態が良い個体もあり、いきなり人工餌に餌付く個体もいるそうです。

見た通り口が小さいので、小さな餌しか食べることができません。

最初は生き餌ブラインシュリンプから始め冷凍ブラインシュリンプ(ベビー)に慣らし、

徐々に人工餌に慣らしていくのですが、食べない個体は徹底的に人工餌を食べない

と思われるので、冷凍ブラインシュリンプ(ベビー)を給餌することになります。

テングカワハギは痩せやすいので

もし、ベビーシュリンプしか食べない個体の場合、長期飼育は難しいです。

また、生餌を給餌すると水槽の水が汚れ水質が悪化するので、

強力なプロテインスキマーが必要になってきます。



もし、人工餌に餌付けば強い魚なので長期飼育を狙えます。

粒餌ならば、メガバイトのSサイズが食べることのできる限界のようです。

写真はメガバイトSのレッドを食べている個体です。

この個体は人工餌を食べていたのですが、ある日突然原因不明で☆になってしまいました。

飼育環境・総評

性格 ☆☆☆☆★ 良い(臆病な一面がある)
耐病性 ☆☆*★★ やや白点にかかりやすい
対水質悪化 ☆☆*★★ 普通
餌付き(人工餌) ☆*★★★ 個体差が大きい

熱帯域に生息する魚なので、水温が低くなり過ぎないよう注意してください。

適温は23~27℃くらいでしょうか。

水流が強いと流されてしまうくらい泳ぎはゆっくりなので水流は弱めに設定します。

濾過のストレーナには必ずスポンジをつけて下さい。

寝るときに、ストレーナに吸われ続けると体力消耗により死亡する場合があります。

同様の理由で水流ポンプの使用は昼間のみにとどめたほうが良いです。

寝ているときに背びれをつっぱって地形に身をまかせるので、

ライブロックなど引っ掛かりの良い休む場所があると良いです。

やや白点病にかかりやすいので注意してください。

採集



採集難易度 ☆☆★★★
レア度 ☆☆☆★★
輸送に対する強さ ☆★★★★

これはあくまで個人的な見解です。

日本に生息する海水魚については採集についても触れておきましょう。

採集についてですが、生息域が和歌山と琉球列島となっています。

和歌山では見たことがありませんが、沖縄では普通に見ることができます。

しかし、浅瀬のすばらしいサンゴ礁が減少しているので、

今年3月の沖縄本島採集では1ペアしか見ることができませんでした。

という意味でレア度は3とさせてもらいました。

そのうちの1匹を採集しましたが、採集難易度は低いです。

「見つけたら採れる」とでも言っておきましょう。

泳ぎが遅いので、人間がフィンをつけて泳げば普通に追いつける逃げ足です。

ただし、サンゴの間に入られるのでやや難しい部分があります。


もちろん魚を採るときは素潜りでないと違法です。

漁具に関しては、都道府県ごとに使用できるものや条件が決まっています。

また国立公園の海域公園に指定されているエリアでは

国が指定している魚種の採集は禁止です。

また、漁港など危険な場所では潜ってはいけません。

ルールやマナーを守って楽しく採集をしましょう。

輸送についてですが、沖縄からヤマト運輸の航空便で送りましたが、

酸素パッキンで3重にし、気圧の変化を考慮して緩めでパッキンした結果、

死着はしませんでしたが、だいぶ弱った状態で到着しました。

某通販から注文した際も、弱っていたので輸送に関しては弱いと判断しました。



採集に関して、詳しくは以下のリンクを見てください。

環境省自然環境局HP 国立公園 http://www.env.go.jp/park/index.html

各国立公園の海域公園区域を知りたい場合は、知りたい国立公園をクリックし、

右上メニューの公園紹介をクリックすると、

区域図というリンクがあるのでそちらを見てください。

また同ページに各海域公園内で採集が制限される魚種についてリストがあります。

漁具については以下のリンクから各都道府県の漁業協同組合のHPをご覧ください。

水産庁HP 遊漁の部屋 http://www.jfa.maff.go.jp/j/yugyo/index.html

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東上の個人的なネタです
近況はこちらを見てください。

Contents



忙しくても維持できる海水魚水槽をコンセプトに、更新を再開しました。初期の頃の水槽の様子と現在の様子ががらりと変わっており、その変化と、東上の成長が分かるコンテンツとなっております。



沖縄・高知・和歌山・伊豆等をメインフィールドに、熱帯海水魚の素潜り採集をするコンテンツです。鼓膜穿孔が慢性化しており、更新できるかは未定です。



鉄道模型のいわゆる「ジオラマ」を1畳サイズのレイアウトに実現することを目標に、トンネルや草の生やし方など初心者の初心者による初心者のためのレイアウト製作の様子をお伝えします。現在更新を停止しています。



東上が飼育したことのある海水魚について、東上的飼育の方法について紹介するコンテンツです。特にカミソリウオやタツノオトシゴ、ヨウジウオのような特殊な魚を中心に展開しております。日本産の魚種に関しては、採集についても取り上げています。



2014年10月、小笠原諸島父島へ行って参りました。シュノーケリングに海水魚採集、魚突きと、海の遊びを満喫した滞在でした。ユウゼンやレモンピールエンゼル等、日本では小笠原でしか見られない魚種と出会うことができました。小笠原諸島で海水魚採集をする際の解説や注意点はこのリンクをご覧ください。



CB400SBRevoに乗ってツーリング先での出来事や、近畿・中部周辺のツーリングに最適そうな道をレポートしていきます。高知県でのキャンプツーリング×海水魚採集にも挑戦してみました。



ロードスター(NC)の記事です。バイク以外の足が増えたので、夜間の寒い星空撮影も行く機会が増えそうです。ロードスターの紹介やツーリングの記事はここからどうぞ。



星と、風景を一緒に撮るという写真です。なかなか条件が揃わず、撮影は失敗の方が多いですが、条件が揃った時の美しい風景を追い求めて、新月の夜に活動しています。

Profile

HN:
東上本出(あずまがみもといで)
性別:
男性
趣味:
海水魚飼育・採集 鉄道模型 バイク
自己紹介:
500000アクセス達成。1年で100000ペースで伸びています。いつもありがとうございます。


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Links

1.023world

海洋の仕組み・細菌や微生物から学ぶマリンアクアリウムと、関連する自作器具の制作方法の公開、ヤドカリ検定・ヤドカリ図鑑のヤドカリパーク、その他関連リンクも満載。

近畿大学水族環境学研究室

東上の母校である近畿大学農学部の研究室です。海水養殖における白点病の原因であるC.irritansについて研究をしています。白点病に関する記事の参考文献とさせていただきました。

Chatan`s Blog

韓国で海水魚採集をされているChatanさんのブログです。日本で採集される魚種の紹介の記事で、当サイトの写真を採用していただきました。外国にも海水魚採集の文化があるとは驚きです。

【金魚の飼い方】初心者向け飼育方法と金魚の種類をご紹介

金魚の飼育方法と、種類について解説をしているサイトです。淡水魚飼育は金魚に始まりますが、金魚に終わるとも言います。淡水魚飼育の基礎を学んでみては。



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