うみのおさかなのいろいろ@東上本出の日記

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うみのおさかな以外の話題がメインになってしまったブログ主の○○やってみたシリーズ。水槽の更新再開しました。

ノコギリヨウジ及びヒバシヨウジの飼育

ノコギリヨウジ

和名 ノコギリヨウジ
学名 Doryrhamphus (Doryrhamphus) japonicus
トゲウオ目ヨウジウオ科ヒバシヨウジ属ヒバシヨウジ亜属
全長 7cm
分布 南日本の太平洋岸・伊豆諸島・小笠原諸島・琉球列島・台湾
10m以浅の岩礁に生息。ヒバシヨウジに似るが、青色縦帯が細い。尾鰭の黄色斑は普通3個。

特徴

ヨウジウオの中でも遊泳性であるヒバシヨウジ属の仲間。

ヒバシヨウジに似ており、ヒバシヨウジと混同されていたが、

1975年にヒバシヨウジの亜種とされ1981年に別種であることが分かり学名がつけられた。

学名のJaponicusは日本近海固有種であるため。

ヒバシヨウジと同じくクリーナーフィッシュである。

普通種であり、岩陰やガンガゼの間でよく見られる。

いつもの写真。右はメス、左がオス。

見分け方はオスにはメスに預けられた卵をしまっておく育児嚢がついており

ペアの場合、卵を持っているときは卵の有無で見分けられる。

卵を持っていない場合は、オスの腹にはV字の切れ込みがあるので

それで見分けることができる。

ヒバシヨウジ

和名 ヒバシヨウジ
英名 Bluestriped pipefish
学名 Doryrhamphus (Doryrhamphus) excisus excisus
トゲウオ目ヨウジウオ科ヒバシヨウジ属ヒバシヨウジ亜属
全長 6cm
分布 南日本の太平洋岸・八丈島・琉球列島・小笠原諸島・インド汎太平洋
学名()内はヒバシヨウジ亜属の意。ノコギリヨウジに比べ青色縦帯が太く、尾鰭の黄色斑は散在している。50m以浅の岩礁域、サンゴ礁域に生息する。

飼育について

ノコギリヨウジとヒバシヨウジの飼育方法は基本的に同じです

サンゴ水槽での飼育

サンゴ水槽での飼育が可能です。

というより、サンゴ水槽での無給餌飼育をお勧めします。

好日性サンゴを飼育するためには強い光を当てますが、

本種は暗いところを好むので、ライト点灯中はライブロックの陰に隠れ

出てこないことが多いです。

消灯すると、岩陰から出てきてライブロックや水槽面のコペポーダをバクバク食べます。

他の魚との混泳

性格は温和で、臆病なハゼ等と混泳が可能です。

ヨウジウオの仲間は泳ぎが遅いので、魚中心の水槽には向いていません。

ヨウジウオやタツノオトシゴの仲間・ネズッポ等との混泳が向いています。

同種・同属との混泳

同種間ではペアでの飼育が望ましいです。

ペア同士ではいつも寄り添って泳いでいてかわいらしいです。

見ているこちらが羨ましくなるくらい仲がいいです。

オス同士を混泳させるとケンカしてしまいます。

ヒバシヨウジ亜属の魚と(ノコギリヨウジ・ヒバシヨウジ・セスジヨウジ)

同じ遊泳性であるオイランヨウジ、カスミオイランヨウジ※

との混泳は基本的に問題ないですが、

前者2種は近縁であるため、例えばノコギリヨウジ♂とヒバシヨウジ♂と

どちらかの種の♀を混泳させた場合、どうなるか試したことはありませんが

もしかするとケンカになるかもしれません。(あくまで憶測です)

※カスミオイランヨウジ
元々海外で報告されていたオイランヨウジの近縁種が日本でも発見されたので、
和名がつけられた。学名はDoryrhamphus (Dunckerocampus) naia。()内は、
オイランヨウジ亜属の意。オイランヨウジとの相違点は、尾鰭の白斑が無いこと、
赤色横帯の境界がはっきりしていない(かすんでいることが和名の由来)、
体色が黄土色ベースであることである。

餌について

タツノオトシゴを含むヨウジウオ科の魚を飼育する際のネックは

ズバリ餌の問題です。

本種を含むヨウジウオの仲間はプランクトン等の小さい餌しか食べません。

しかも、活き餌でないと食べない個体もいるため、餌の確保が難しいです。

また、消化管が短いため食いだめが効かず、こまめな給餌が必要です。

餌の種類としては、第一に活イサザアミを与える方法があります。

ただし活イサザアミは高価であり、安定して手に入るとも限りません。

次に候補として挙がるのがブラインシュリンプをふ化させて与えるという方法です。

私はこの方法で半年以上ヨウジウオをキープしてきました。

この方法は前者に比べ安価でありほとんどの個体が食べてくれることがメリットですが、

非常に面倒であり、また水を汚します。

水が汚れると、写真のようなベタベタしたシアノバクテリア(赤ゴケ)が

生えてきてしまい水槽の見栄えが最悪になります。

この給餌方法を実践する場合はベアタンク(砂やライブロックを入れない)

で行ったほうが無難だと思われます。

どうしてもこの給餌方法でサンゴを一緒に飼育したいならば、

極力一回の給餌量を減らし、かつ回数を多く与え

水槽は総水量の多いオーバーフロー水槽に強力なプロテインスキマーを

取り付ける必要があると思います。

そして、第3の選択肢は冷凍餌です。

ヨウジウオに与えるとするならば

冷凍ブラインシュリンプ
冷凍ブラインシュリンプベビー
冷凍ホワイトシュリンプ(イサザアミ)

等があります

この方法は一番楽ですが、ヨウジウオが食べてくれるとは限りません。

私の飼っていたノコギリヨウジは冷凍餌には見向きもしませんでした。

また、ブラインシュリンプ同様非常に水を汚すため、注意が必要です。

私はヨウジウオに給餌をする飼育方法で9か月程飼ってきましたが、

水槽の水が汚れすぎるため、何度も水槽をリセットしています。

つまり、ヨウジウオに給餌をする飼育方法は得策ではありません。

そこでお勧めしたいのが、無給餌飼育です。

無給餌飼育とは水槽のライブロックやサンゴから

自然に発生するコペポーダやヨコエビなどを与えて魚をキープするというものです。

この方法は、飼育できる匹数が制限されるのと、

水槽にコペポーダやヨコエビが自然発生していることが条件ですが、

ある程度の量のライブロックを入れ、サンゴを飼育することで実現可能です。

当然サンゴをキープするだけの飼育技術が要求されますが、

それは、ヨウジウオの飼育は生半可な気持ちでは出来ない

ということを意味すると考えてください。

飼育できる匹数ですが、

45cm水槽で1匹
60cm水槽で2匹
90cm水槽で3匹

程度が相場だと考えています。

最初はショップでヨコエビを100匹ほど購入し、水槽に入れておくと、

安定的な供給状態になりやすいです。

当然ですが小さい水槽のほうが餌の安定供給が難しいということを

頭に入れておいてください。

多くの方は90cm以上の大型のリーフタンクの脇役として

ヨウジウオを飼っている場合がほとんどです。

私は60cm水槽でヨウジウオの無給餌飼育をしていますが、

やはり痩せやすいです。

なので、時々活餌イサザアミを与えています。

飼育環境・総評

性格 ☆☆☆☆☆ 非常に良い
耐病性 ☆☆☆☆★ 強い
対水質悪化 ☆☆★★★ やや弱い
餌付き(人工餌) ★★★★★ プランクトン食

ノコギリヨウジに関しては、温帯域に生息する魚なので、

比較的低水温に強いと思われます。

ヒバシヨウジはノコギリヨウジよりも南方の魚ですので

低水温に弱いと考えられます。

寝るときはライブロックの上や裏側で寝るので、

カニ等に派手な尾ビレを切られたりすることが多いです。

また、大きなオトヒメエビやスカンクシュリンプ等を混泳させると

捕まってしまうこともあります。魚以外の混泳にも気を使って下さい。

病気に対しては非常に強く、ほとんどかかりません。

臆病な一面もあるので水槽に近づく時は驚かさないようにしましょう。

採集

採集難易度 ☆☆☆★★
レア度 ☆☆★★★
輸送に対する強さ ☆☆☆★★

ノコギリヨウジ

分布域は南日本の太平洋岸、伊豆諸島、小笠原諸島、琉球列島、

となっていますが、主に南日本の太平洋岸で多く見られます。

現在私が飼育しているノコギリヨウジのオスは、

和歌山県白浜のタイドプールでペアで採集されたものです。

タイドプール内に入り込むことはあまりなく、

通常は岩の裂け目の間にいることが多いです。

そのため、採集はやや難しいかもしれません。

体が細いので、専用の目の細かい金魚網等があると採集が捗ります。

輸送に関しては、強くも弱くもなく普通といった印象です。

ヒバシヨウジ

分布域は南日本の太平洋岸・八丈島・琉球列島・小笠原諸島で

ノコギリヨウジと重なっていますが、本種は亜熱帯~熱帯域に多く

生息しているため、本州沿岸ではノコギリヨウジの方が数が多く

本種は本州沿岸ではレアです。しかし、沖縄にいくとレア度が逆転し

ヒバシヨウジのほうが多くなります。

ノコギリ同様岩の裂け目の間にいるため採集には専用の装備を要します。

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