うみのおさかなのいろいろ@東上本出の日記

海水魚採集 海水魚飼育 飼育各論 小笠原 星景撮影 CB400SB Roadster CX-30

うみのおさかな以外の話題がメインになってしまったブログ主の○○やってみたシリーズ。水槽の更新再開しました。

ハダムシを水槽に持ち込んだら

海水魚を飼育していると、何かと気を遣うのが病気の感染ですが、

忘れられがちなのが寄生虫の存在です。


本来水槽に新しい魚を導入するときは、淡水浴をしてから

水槽に入れることが基本です。

多くのショップでは、入荷した魚が高確率で寄生虫を持っている

ことを前提に、淡水浴または薬浴を行っています。

ショップで購入した個体ならば、淡水浴をされて寄生虫が

落とされている場合が多いので、自宅水槽に導入するときに

あえて淡水浴を行わなくても、悪い結果につながる確率は高くないはずです。
(※淡水浴や薬浴をしなくていいという意味ではありません)

しかし、自分で採集してきた魚はどうでしょうか。

自然界の海から直接採ってきたヤッコやチョウチョウウオは、

高確率で寄生虫を持っていると考えられます。

いわばショップに入荷され、淡水浴を行う前の状態です。

その状態で、自宅水槽に魚を入れたらどうなるかというと、

自宅の水槽に寄生虫を持ち込むことになります。


現在30cmハイタイプ水槽にソメワケヤッコ・セナキルリスズメダイ

キンギョハナダイ♀の三匹の魚を飼育しており、

いずれも自家採集の個体です。

この3匹の魚は、私が所属していた

海水魚採集・飼育・展示を行う大学のクラブの展示会で使用した魚で、

期間中同じ水槽内で多くのヤッコやチョウチョウウオと混泳させていました。

展示する魚は全て自家採集個体で、

多くの魚を扱う関係上、導入時に淡水浴は行っていません。

そのため、採集した魚の中に、1匹でも寄生虫を持っている魚がいれば、

その魚と同じ水槽に収容した魚は寄生虫に感染している可能性があるのです。

そして、悪いことに実際に寄生虫が蔓延していたので、

私が譲り受けた上記の3匹の魚も寄生虫に罹っていたと考えられます。


私も海水魚飼育に関してはまだまだ経験年数が浅いので、

導入時に淡水浴をしなくてはならないということは聞いたことがあったのですが、

淡水浴を行わないことのデメリットを知らなかったのと、

淡水浴は面倒だという理由で行いませんでした。


導入から1ヶ月後、ソメワケが臀鰭をプルプルと震わせているのを確認し、

白点の付きはじめかと思い、白点キラーを投入したのですが、

一向に症状がおさまらず、今度は急にシュッと泳ぐ動作をするようになりました。

この時胸鰭を確認したところ、白点はついていませんでした。

白点ではないのに痒そうな動きをする。

これは寄生虫の症状ではと思い、調べてみるとハダムシ症の疑いがありそう。

とりあえず白点キラーは投入し続け、様子を見ることにしました。

さらに数日すると、ソメワケの動きがそわそわした感じになり、

ライブロックに体を擦り付けるようになりました。

さらに、ライブロックに体を擦り付けたせいで傷から

リムフォシスティス病※を発症していました。

また、十分に酸素供給しているはずなのに鰓の動きが速く、

間違いなくこれはハダムシ症と判断し、淡水浴しました。

※リムフォシスティス
体表の傷などから、リムフォシスティス・ウイルスが感染し、
白いデキモノがカリフラワー状に大きくなっていく。
致死率は低く、早期発見での淡水浴による治療が可能。
白点との見分け方は、リムフォでは白い点が
移動しないのに対し、白点では白い点の位置が変わる。



淡水浴は2分程行います。それ以上行うと死亡率が上がります。

リムフォの部分は指でそっと撫でます。

ハダムシは海水中では透明で、目視で確認することはできませんが、

淡水に浸けると白くなり見えるようになります。

2分も淡水浴を行えば、プラケースの底に白いものが沈んできます。

これがハダムシの正体なのです。


気を付けるべきことは、魚を淡水から海水に戻すときです。

この時一気に海水に戻すと、魚が死ぬ可能性が高いです。

ですので、少しずつ飼育水を混ぜていき、元の比重に戻していきます。

魚が落ち着いたら本水槽に水温を合わせて魚を戻します。


しかし、魚のハダムシをいくら落としたところで、水槽内には

多くのハダムシやその卵がおり、また数日すれば寄生されてしまいます。

寄生されては、淡水浴のパターンを繰り返していては、

魚にとっても多大なストレスになり、他の原因で死亡する可能性があります。

そこで、活躍するのがスカンクシュリンプ※です。


※スカンクシュリンプ Lysmata amboinensis
アカシマシラヒゲエビ・アカスジモエビとも呼ばれる。クリーナーシュリンプとして有名。


ハダムシが発生した水槽に通常よりも多いスカンクシュリンプを入れます。

私の水槽の例ですと、30cmハイタイプなので3匹程度だと思います。

すると、ハダムシ駆除に対して効果が期待できる可能性があります。

エビを食べてしまう魚種がいる場合はホンソメワケベラが効果的だと考えられます。

しかし、ハダムシ駆除のために新しい生体を導入するのは

駆除し終わった後のことを考えると気が進みませんよね。

基本的には、ハダムシを水槽に持ち込まないよう、

新規に導入する魚には必ず淡水浴をすることを心がけるべきです。


私の水槽にはスカンクシュリンプを導入することにしました。

注文して、まだ届いていませんが、スカンクシュリンプ導入後の経過について

後日改めて報告したいと思います。


また、気休めにしかなりませんが、大量換水を行いました。

水槽の半量の水を入れ替えたので、生物濾過のバランスが崩れるといけないと思い

バクテリアを添加しました。これが逆に水槽のバランスを崩すとは思いもよらず…


一晩経過し、翌朝水槽を見てみるとソメワケの泳ぎ方がなんだか変。

鰓が速く苦しそう、他の2匹も鰓が速い。

エアーリフト式のプロテインスキマーは正常に動作している。

水流ポンプも一応まわっているけど下を向いている。

水位はかなり高めに設定してある…

以上を踏まえ1分程考えて出した結論は。


「酸欠だこれ。」


なぜ、このような現象が起きたのかというと、

私は塩ダレと塩ハネが嫌いなので、わざと水位を上げ濾過器からの排水の水落

を抑えていました。それでは酸素供給に不安があるので

エアーリフト式のプロテインスキマーを使用していました。

さらに、水流ポンプで水流を与え、酸欠を防いでいました。

しかも、実はもともと生物濾過が完成しておらず、

今まではバクテリアの数が少なかったので、夜間のバクテリアの呼吸量は少なく、

上記の酸素供給システムでも問題はありませんでした。

しかし、バクテリアを添加した結果、夜間のバクテリアの呼吸量が多くなり

上記のシステムでは酸素供給が追い付かなくなり、

朝方、飼育魚が酸欠を起こしたのだと考えられます。

酸欠で死なれては堪ったものじゃないので、



仕方なくエアーレーションを行い回復。


エアーリフト式のプロテインスキマーは一見大量の酸素を供給しているように

見えますが、スキマー内部と外部との水の循環が少ないため、

過密水槽で生物濾過が完成してくると、

上記の理由で酸欠状態を起こすことがあるようです。気を付けてください。

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